体外受精(IVF)の治療法について

体外受精(IVF)の治療法をくわしく解説します。

体外受精・顕微授精の基礎知識

体外受精とは

体外受精の
治療法

このページでは、
体外受精の治療法について紹介します。

排卵を誘発させる
方法の種類

排卵を人工的に
行う方法を
紹介します。

排卵誘発法について

受精の方法

体外受精では、
シャーレの中で卵子と精子を
出会わせて受精させます。

受精について詳しく見る

移植の方法の種類

受精卵を子宮に戻す方法も
いくつかあります。

移植の方法について
スケジュール

体外受精(IVF)
の治療法

費用

ここでは、体外受精(IVF)の治療法についてくわしく紹介していきたいと思います。

体外受精(IVF)の治療法をチェック

体外受精(IVF) とは、子宮の中から取り出した卵子を体外で受精させて、その受精卵を培養した後、子宮へ戻すという治療法です。

その治療過程において、「排卵誘発」「胚盤移植」という治療段階については、それぞれいくつかの方法があります。このページでは、それらの治療法の違いをくわしく解説します。また、体外で受精させる方法などについても触れているのでぜひチェックしてみてくださいね。

排卵を誘発させる方法の種類

体外受精においては、より多くの良好な卵子を採卵することが、成功へのカギとなります。その採卵に向けて卵胞を発育させるための方法が「排卵誘発法」。適切な排卵誘発法を選んで行うことが体外受精の成功にとって、とても重要なのです。排卵誘発法はさまざまありますが、以下に挙げるようなファクターを参考にして、その方法を選択します。

 
  1. 年齢
  2. AMH
  3. 卵巣ホルモン(E2 P4)
  4. 下垂体ホルモン(FSH LH)
  5. 過去の採卵周期
  6. 男性因子(精液所見)年齢
  7. 可能な来院回数
  8. 採卵日の制限があるか?
 

それでは以下に、排卵誘発法の主なものを一覧にしてみました。

 

アゴニスト法【刺激度:★★★】

採卵する前の排卵を抑制する方法として、「アゴニスト」(主に点鼻薬)と「アンタゴニスト」(腹部皮下注射)があります。アゴニストは、スタートする時期によって「ショート法」「ロング法」「ウルトラロング法」に分けられます。「ショート法」は月経の初日から、「ロング法」は前周期の高温中期から、そして「ウルトラロング法」は数ヶ月前からスタートすることになります。
ショート法のメリットは、アゴニスト開始直後2~3日間、下垂体ホルモンのフレアアップを卵胞発育に利用できること。ロング法のメリットは、発育が均一になることや排卵する可能性がほとんどないこと、採卵日のコントロールが容易なことなど。そしてウルトラロング法のメリットは、子宮内膜症の人の着床環境が改善することが挙げられます。

アンタゴニスト法(HMGセトロ法)【刺激度:★★★】

月経3日目からHMG注射をスタートし、6日目からセトロタイド®、またはガニレスト®3mgを腹部皮下注射します。卵胞が充分に発育して採卵が決まるまで、4日間毎に追加します。
メリットとしては、初段階から下垂体ホルモンの抑制をしないため「アゴニスト法」に比べて卵胞が発育しやすいことなどが挙げられます。

完全自然周期【刺激度:★】

原則として、経口・注射に関わらず排卵誘発剤を使用しない方法です。ただ、採卵前の排卵を防ぐ目的で1~2回アンタゴニストやHMGを使う場合もあります。
完全自然周期法のメリットとしては、通院回数が少なくて済むことや体への負担が少ないこと、また連続周期採卵が可能なことなどが挙げられます。

【注意】卵巣機能が低下した状態では、排卵誘発剤を使用しても、それほど多くの採卵は見込めず、また時に卵巣に余計な負荷をかけてしまう可能性があります。そういった方には、排卵誘発剤をまったく使わない方法がおすすめです。当サイトで紹介している六本木レディースクリニックでは排卵誘発剤を使用しない「RLCNaturalCycle IVF(自然周期安心リラックス採卵)」が受けられます。

クロミフェン(クロミッド(r)またはセロフェン(r))【刺激度:★★】

月経3日目から服用をスタートします。HMG注射、およびセトロタイドを併用し、発育卵胞数の調整を行うこともあります。

セキソビッド(r)【刺激度:★】

月経3日目から5日間服用します。薬剤名は「シクロフェニル」。弱いエストロゲン作用を持った非ステロイド系の排卵誘発剤です。下垂体へ作用し、ゴナドトロピンの分泌を促進するとされていますが、不明な点も多いそうです。クロミフェンと比較すると排卵誘発作用は弱くなります。

フェマーラ(r)(またはアナストロゾール(r))【刺激度:★★】

月経3日目から服用します。薬剤名は「レトロゾール」。卵巣の中で、男性ホルモンをエストラジオールに転換するのに必要な酵素「アロマターゼ」を阻害することで、エストラジオールの発生を抑制し、ネガティブフィードバックでFSH分泌を高めて排卵を誘発するとされています。しかし、不明な点もまだ多いそうです。

その他、「タモキシフェン(ノルバデックス(r))」「エストロゲンリバウンド」などがあります。

 

受精のさせ方

採卵された卵子を培養液内で確認し、採精した精子は運動性の高いものを取り出して、卵子と精子を一緒にして受精させます。「媒精」とも呼ばれます。

体外受精における媒精では、シャーレと呼ばれるガラス皿上で卵子と精子を出会わせます。精子が自らの力で卵子へ侵入し、受精が起こるのを待ちます。

もし精子の動きが悪い場合は、この受精法では受精が期待できないため、顕微授精を行うことになります。顕微授精では、顕微鏡下で細いガラス管を使って精子を卵子に注入します。

移植の方法の種類

移植の方法は大きく分けると、「初期胚移植(分割期胚移植)」「胚盤胞移植」「二段階胚移植」の3つがあります。得られた胚(受精卵)の数やグレードなどを考慮し、担当医師とよく話し合って決めるとよいでしょう。

ちなみに、日本には胚の移植数を定める法律はありません。しかし、多胎妊娠を避けるために、日本産科婦人科学会が定めるガイドラインにおいて「原則として単一とする。ただし、35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては2胚移植を許容する」 と定められています。

 

初期胚移植(分割期胚移植)/IVF-ET

採卵周期(刺激周期)の培養2日目、あるいは培養3日目に、4~8細胞期の初期胚を子宮内へと戻す方法です。長期培養技術や胚盤胞凍結技術が低かった時代は、この初期胚の新鮮胚移植が中心となっていました。

胚盤胞移植/IVF-BT

採卵周期(刺激周期)の培養5日目に、胚盤胞を子宮内へと戻します。良好な胚盤胞ができた場合は着床率も高くなるため、35歳を超える女性でも単一胚盤胞移植をすることをおすすめします。近年は、複数の胚ができた場合には胚盤胞になるまで長期培養を試み、慎重に良好胚の選別を行うケースが増加しているようです。

二段階胚移植

子宮の中を妊娠しやすい環境へと導くため、まずは初期胚を1個送り込みます。そしてその数日後に、着床を期待する胚盤胞を同一周期に移植します。結果として2個の胚を移植することになる方法のため、基本的に35歳未満の女性は初回には行うことができません。

また、核移植をサポートする方法として、以下のようなものがあります。

  • 着床率を高める「アシステッド・ハッチング(孵化補助術)」
  • ハッチングとは「孵化」の意。つまり、孵化をアシストするのがアシステッド・ハッチングです。人間の卵も、「透明帯」と呼ばれる、卵の殻の働きをする部分から孵化して着床に至ります。この透明帯が硬くて厚いために孵化が起こりづらく、着床が妨げられている場合があり、これが体外受精で妊娠しにくい理由のひとつとなっているのです。そこでアシステッド・ハンチングを用いて透明帯を薄く、あるいは開孔し、孵化を促します。具体的な方法としては、針でスリットをつくる機械的な術や、薬剤で表面を溶かす化学的な術があります。また、レーザーを用いる方法もあります。

  • 妊娠率のアップ&次の治療を軽減する「凍結融解胚移植」
  • これは文字どおり、受精卵(胚)を凍結保存して、融解後に胚移植する方法です。子宮は着床できる時期が限られていて、それを逃してしまうと良好胚を移植しても着床しにくくなってしまうと言われています。つまり妊娠は、着床可能な期間・環境の子宮に、着床可能な胚を移植しなければ、成立しないのです。「凍結融解胚移植」では、その期間をしっかり考慮して移植を行うため、妊娠率がアップすると言われています。

受精卵(胚)の凍結保存を行うケースには以下のようなものがあります。

  • 移植胚以外に複数の良好胚が育った場合
  • 妊娠成立による副作用(OHSS)の重症化を予防したい場合
  • 妊娠率の向上
 

精子凍結とは?

生きた精子を採取し、保存液で処理を行った後に、超低温の液体窒素で保存する方法です。一度凍結した精子は液体窒素で半永久的に保存が可能であり、必要な時に融解をして使用できます。

主に、以下のようなケースで精子凍結保存が選択されます。

 
  • 何らかの理由で、体外受精当日に新鮮な精子が使えないケース
  • 精子の数が少ない、あるいは動きが良くない場合に、数回の凍結保存で精子を蓄積して不妊治療に生かすケース
  • 病気等の治療の影響で精子にダメージが生じることが予想されるケース。保存用として凍結
 

体外受精(IVF)の治療法の総括

さて、いかがでしょうか?体外受精の治療法についてくわしく解説してきました。

体外受精をスタートする前には、それぞれの治療段階においてどのような方法(選択肢)があるのか、ぜひ知っておいていただきたいと思います。

そして、実際選択するとなった時には、担当医師とよく検討して自分に最適な治療法を選べるようにしましょう。