顕微授精(ICSI)の施術スケジュールとは

顕微授精(ICSI)のスケジュールについて、どんなことがどの時期に行なわれるのか解説します。

体外受精・顕微授精の基礎知識

顕微授精とは

顕微授精の
スケジュール

このページでは、
顕微授精がどのような流れで
行われるのかを説明します。

まずは、
卵子と精子を採取。

女性からは卵子を
排卵誘発法により
排卵させて採取します。

男性からも
精子を採取します。

卵子と精子の採取方法について

顕微鏡を使って
精子と卵子を授精。

体外受精との大きな違いは、
顕微鏡を覗きながら細い管を使い
人の手で授精させることです。

授精について

受精卵を子宮に戻し
妊娠判定を行います。

「胚盤胞」に育った受精卵を
子宮に戻します。
2週間後に尿検査により妊娠判定を実施。
妊娠反応が出ていれば、妊娠成功です。

顕微授精(ICSI)
のスケジュール

治療法 費用

ここでは、顕微授精(ICSI)による不妊治療の、大まかな治療スケジュールを紹介していきましょう。さらに、だいたいのスケジュールを紹介したのち、各治療段階の詳細についてや、体外受精(IVF)の治療スケジュールと違う点についてもくわしく解説していきます。これから顕微授精を考えている人、治療の流れが気になる人など、ぜひ皆さんチェックしてみてくださいね。

顕微授精(ICSI)の
治療スケジュールの概要をチェック

顕微授精(ICSI)の治療は、一般的に以下のようなスケジュールで進行していきます。

 
  1. 卵巣刺激(排卵誘発)・排卵させる
  2. 採卵
  3. 精子を採取
  4. 媒精(顕微鏡を使用して授精させる) ※体外受精(IVF)と違うところ!
  5. 分割胚(受精卵が細胞分裂を起こし、胚盤胞となるのを待つ)
  6. 移植(胚盤胞を子宮に戻す)
  7. 妊娠判定

以上、7段階のステップが、顕微授精(ICSI)の治療を行う際の大まかなスケジュールとなります。

基本的には体外受精(IVF)と同じスケジュールで進行していきますが、上の記述でいう「4.媒精」のステップにおいて、その方法に大きな違いがあります。その違いについての詳細は、下でくわしく解説していくので、ぜひそちらもチェックしてみてください。

 

顕微授精(ICSI)の各治療スケジュールではどのようなことをするの…?

以下に、上で紹介した顕微授精(ICSI)の治療スケジュールについて、各治療のステップで行うことをよりくわしく解説したいと思います。クリニックの治療方針や、治療を受ける個人の状態・希望によっても違いがありますが、一例としてぜひ参考にしてみてくださいね。

 

1.卵巣刺激(排卵誘発)・排卵させる

妊娠の確率を上げるために必要となる、最初のステップです。ホルモン剤や排卵誘発剤などを使用して卵胞を成長させ、排卵を促します。そしてhCG注射を行って、成長した卵胞から卵子が排卵されるよう促します。このステップは、使用する薬剤の種類や投与方法などにより、さまざまな治療法が存在します。患者さんの希望や、卵巣の状態などによって方法を決めるのが一般的です。どのような方法があり、それぞれどのような違いあるのかは、次のページでくわしく解説していきます。気になる人はぜひチェックしてください。

2.採卵

「採卵」というのは、卵巣から卵細胞を吸引する操作のことを言います。

採卵の方法としては、腟から採卵針を超音波で確認しながら行うのが一般的です。採卵後安静にして、出血や痛み、血圧、心拍などに問題がなければ、そのまま帰宅となります。もし出血が多い場合などには、入院が必要になることもあるようです。

また、気になる採卵時の痛みですが、麻酔なしでも痛まない人がいたり、チクチクといろいろな場所が痛む人もいたりと、人によってさまざま。採卵の際の麻酔については、クリニックや治療方法によります。排卵誘発の方法によっては全身麻酔を行うところもありますし、麻酔を使わずに採卵を行うクリニックもあります。また局所麻酔を使うところもあるようです。気になる場合は、事前に確認しておくとよいでしょう。

3.精子の採取

卵子が採取できたら、クリニック内にある採精室でマスターベーションを行い精液を出し、専用の容器に採取します。

採卵の当日に男性が病院へ同行できない場合、事前に家で採精した精子を女性が持参するケースもあるようです。精子の運搬中は、温度の変化を最小限に抑えて、可能な限り早く届ける必要があります。できれば数時間以内に届けましょう。

ちなみに、運動率の良い精液を採取するには、採卵の4~5日前に一度射精を行っておくのがおすすめです(フレッシュな精子が採取できます)。採取された精子はその後、遠心分離機にかけて質の高いものだけに選定されます。

4.媒精

体外受精(IVF)による治療と唯一異なるのが、このステップにおける方法です。顕微授精(ICSI)における媒精では、マイクロピペットという針のような細い管を使用して、1個の精子を吸引し、1個の卵子の卵細胞質内へと直接注入します。くわしい方法については次の章(授精について~体外受精との違い~)で解説しているので、気になる人はそちらをチェックしてみてください!

5.分割胚

受精卵は、受精から24時間が経つと4つに分割され、「4分割胚」となります。そして、さらに24時間が経つと8つに分割され、「8分割胚」となります。この分割スピードが、最も良い成長のスピードとされています(妊娠率が高く、流産率が低くなると報告されています)。

その後、何回にもわたって細胞の分裂が繰り返され、約5~7日目には「胚盤胞」と呼ばれるステージになります。これが、体外で培養できる限界のステージです。このステージまでくると、「内細胞塊」といってこの先赤ちゃんになる部分が見え始めてきます。

6.移植

原則、1個の胚を子宮内へ移植します(移植する個数については「日本産科婦人科学会」が指針を出しています)。胚移植にはいくつかの方法があり、患者さんの希望や胚の質などによって選択されるのが一般的です。具体的な移植の方法は、大きく分けて3種類あります。

1つめは「分割期胚移植」(受精後2~3日の分割期胚を移植する、古くから行われている方法)。2つめは「胚盤胞移植」(5~6日ほど培養し、胚盤胞と呼ばれる着床寸前の胚を移植する方法)。3つめは「二段階胚移植」(分割期胚と胚盤胞を同周期で連続移植する方法)です。くわしくは次のページで解説しているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。

7.妊娠判定

体外受精の治療後、約2週ぐらいを目安に妊娠判定が行われます。妊娠が成立しているかどうかは、尿内に含まれている「hCG値」と呼ばれる数値をみて判断されます。「hCG」は、妊娠が成立すると多く分泌される女性ホルモンです。この「hCG値」が100を超えると、妊娠成立と断定されます。

ただ、妊娠検査薬では25~50以上のhCG値でも陽性反応が出るようになっているため、着床率を上げるためにhCG注射を打っている場合、妊娠が成立していないのに検査薬で陽性反応が出ることもあります。そのため、妊娠検査薬を使うならばhCG注射の効果が切れてからにしましょう。どのくらいで注射の効果が切れるかは、以下を参考にしてください。

  • hCG3000…5日程度
  • hCG5000…7~10日程度
  • hCG10000…10~14日程度
 

授精について~体外受精の治療スケジュールとの違い~

一般の体外受精(IVF)の場合は、シャーレと呼ばれるガラス皿の中に入れた精子が、自分の力で卵子の中へ侵入していくのを待ちます。しかし顕微授精(ICSI)においては、マイクロピペットという針のような細い管を使って、1個の精子を吸引し1個の卵子の卵細胞質内へと直接的に注入してあげます。

具体的な方法

卵細胞周辺には「卵丘細胞」と呼ばれる細胞が多く存在しています。酵素パワーを借りてこの「卵丘細胞」を除去し、卵子を丸裸にしたうえで、卵子の第一極体からなるべく遠いところをマイクロピペットの刺す位置に設定して、卵細胞質内へと穿刺します。この方法ならば、正常な卵子・精子が1個ずつ存在していれば、受精→分割→妊娠が可能となるのです。

つまり顕微授精(ICSI)は、精液の状態が悪くて自力では受精ができないと判断される場合、あるいは体外受精(IVF)では受精が難しいと判断される場合に選択される治療法なのです。

顕微授精(ICSI)の
治療スケジュールまとめ

さて、いかがでしょうか?顕微授精(ICSI)の治療ステップ(スケジュール)について、ここまでくわしく解説してきました。だいたいの治療の流れはご理解いただけたかと思います。

前述しているように、基本的な流れは体外受精(IVF)と変わりません。違うのは「媒精」のステップです。

どのような流れで顕微授精を行うのか、また体外受精と違うのはどのステップなのか、ということをだいたいでも把握しておくと、治療を選択するうえでの参考になりますし、治療を決めている人には心の準備にもなると思います。

次のページでは各治療ステップの方法(治療法)についてくわしく解説していくので、ぜひそちらも参考にしてくださいね。